2008年10月1日水曜日

コンセプトセンシティブFAQ

ある Web アプリケーションの導入にあたって、マニュアルの整備や操作方法を学ぶための e ラーニングのあり方についてディスカッションする機会がありました。

専門的で、やや複雑なデータを取り扱うアプリケーションということもあり、ユーザが抱くシステムイメージを形成するところからして骨が折れそうなのに加えて、ヘビーユーザになって初めて利便性を感じることができるような濃やかなオプションなんかも結構あって、これは一筋縄ではいかないね、みたいなかんじでした。

とりあえず、導入とシステムの概要の理解、それから、アプリケーションを用いた典型的なワークフローなんかについては、e ラーニングで学んでもらう。

一方、各画面内に表示されるデータやインターフェースの意味と役割とか、また、テクニックだの TIPS の類は、オンラインマニュアルやFAQ としてまとめておいて、利用中に適宜参照してもらう。

と、まあ、ふつうに考えるとそうなりますね。

ただ、はじめの、入門としての e ラーニングの方はいいんですけど、マニュアルと FAQ は、書こうと思えばいくらでも細かく書けるようなかんじなんで、ユーザの便宜のことも考えて、何か工夫できることはないかな。という話になりました。

それでひとつは、マニュアルや FAQ をベースにしつつ、ユーザ同士で教え合うナレッジコミュニティを作ってみてはどうかと。アクセスログの集計に基づいたリコメンドやランキングなんかもあったりして。

たしかに、そういう集合知関連のテクノロジーをこのジャンルに活かしていくってのは、間違いなく有用だし、これからどんどん普通になっていくことだと思います。

ただ、なんていうか、今、まな板にのってるこのアプリケーションは、まさかホビーの対象ではないですし、正直いって、一日もはやく、誰にも負けないパワーユーザになることを目指して、日々新しい操作を覚える努力を怠らないとか、そういうマインドで接してくるユーザなんてほとんどいないはずなんです。

そうすると、わざわざ、そういうコミュニティサイトにアクセスしてくることもないでしょうし、仮にアクセスしてみても、たとえば、最近よく参照されてるヘルプランキングとか、このヘルプを参照した人はこんなヘルプも参照しています、とか、そんなのに惹きを感じるなんてことはないように思うんですよね。

そういうのは、うっすらとした欠乏感とともにある自発性に向けての刺激なんで、これの場合は、たぶん、できれば早めに切り上げたい、といのがユーザマインドの基調でしょうからね。

だから、教えてナントカみたいなナレッジコミュニティにしても、ある種の出会いを期待しつつ多少なりともワクワクしながら網をはって気長に待つなんてこともないでしょう。一応、サポートデスクはあるんで、八方塞がりでワラにもすがる思いなんていうケースもちょっとなさそうです。

いや、集合知とナレッジコミュニティ自体に文句はないんです。ただ、ユーザにどうやって入ってきてもらうかってことですね。アプリケーションの外でサポートサイトとして待ちかまえていても、あんまり見てもらえそうにないという。

やっぱりこの手のものは、必要なときに、ドンピシャのヒントなりアドバイスを引き出せる、ってのがユーザとしては一番幸せなわけですよね。

だから、ヘルプボタンにしても、画面の右上あたりに、リモートナビゲーションとしてあるんじゃなくて、メッセージやボタンのすぐそばに、コンテクストセンシティブヘルプとかいってあるべきですよね。

で、そういうふうにその場その場で引き出せる情報が、ナレッジコミュニティを通じた集合知によって充実していく、というのが理想じゃないでしょうか。

で、思うのは、ここはひとつ、コンテクストセンシティブFAQ、CSFAQとでも呼ぶべきものをやってみるのはどうでしょう。ヘルプだけじゃなくてね。それと、CSお問い合わせがあって。

なんていうか、はてなスターみたいに、アプリの画面の要所要所に、FAQの項目数を表現したマークがついてるとか。あと、回答待ちの質問数もわかって、画面の操作中、気が向いたユーザが善意で回答を寄せることもできるとか。そうすると、同じアプリを使っている者同士の仲間意識が芽生えて、思いのほか、回答が集まったりして。


-----------------
sent from W-ZERO3

0 件のコメント: