2009年1月21日水曜日

原型であり、典型でもあって、でも紋切り型ではないもの

なーんだ? 答えはペルソナでした。

最近、アラン・クーパー他著「About Face 3」を読み始めました。その中で、ペルソナとは対象ユーザーのアーキタイプであるが、ステレオタイプであってはならない、とか、それは平均的ではなく、典型的なユーザー像である、なんて述べられてまして、そのへんのことを一文にまとめてこのエントリーのタイトルにしてみたのですが、そう並べてみて改めて思うに、原型と典型と紋切り型の違いをただちに弁えて、つるっと飲み込めるかというと、ぼく、正直、ちょっと怪しかったんですね。

すこし、立ち止まって考えてみました。

紋切り型は、まあ、世間に流通している、陳腐でもあるような、固定的なイメージのことですよね。

典型は、あるグループの特徴をよくあらわすメンバーのことですね。この本では平均と対比されていますが、平均的なメンバー像は一種の抽象ですが、典型は実在する誰(どれ)かってかんじですよね。

原型ってのは、けっこう雰囲気だけで使ったり、聞き流してたりしてたかもしれません。あらためてちょっと語義を調べてみると、量産のベースになる雛形のことをイメージするのがいいみたいです。

で、そこまで確かめて、なるほど、と。いわく、ペルソナとは、デザインの対象とするユーザーの原型であり、典型であるが、しかし、紋切り型ではない、ってね。(このまんまの文が本に書いてあるわけではないですよ。念のため。)

実在する個々のユーザーたちを、そのバリエーションとして考えても差し支えないようなユーザー像が原型としてのペルソナ。また、そうしたユーザーたちをある特性ごとにグルーピングした場合、各グループの特徴をよくあらわすユーザー像が典型としてのペルソナ。
そして、ペルソナは、あくまでも事前の十分な調査に基づいて浮かび上がるもんであって、勝手に思い浮かべちゃいけない、ってことですよね。

勝手に浮かべちゃうと、たいてい陳腐な紋切り型になってしまうか、デザイナー自身を投影したユーザー像を相手にしはじめちゃうか(=自己参照デザインと呼ぶそうです)、いずれにしても勝手な話なので、そうしたユーザー像は、デザインプロセスの都合に合わせて恣意的に、無自覚に変形されてしまうことにもなりがちで(いわゆるゴムのユーザーですね)、役にたたないどころか有害ですらあるってわけです。

まったくもってごもっとも。そういわれてみりゃ、ペルソナにかぎらず、システムイメージにしたって、ゴムでできたような紋切り型がいたるところにゴロゴロしてますよ。自分の身の周りから少しずつなんとかしていきたいと思います。

About Face 3は、こんなかんじでちょっとずつ味わいながらゆっくり読んでいこうと思っています。というわけで、しばらくこのブログは読書ノートになります。

-----------------
sent from W-ZERO3

0 件のコメント: