ひとつ前のノートまでで、シナリオに関する部分を一通り"読み終えた"格好です。
だいぶ、こう、自分の現場に強引にひきつけて、断りもなく勝手な解釈を混ぜ込んであるんですが、まあ、自分のためのノートなので、それはそれでいいでしょう。
おれはそう読んだ、ってことです。
自分の現場といえば、数年前から、制作プロセスの指針としていつも参照しているのが、これなんですね。
ウェブ戦略としての「ユーザーエクスペリエンス」
Webサイトの企画から実装までを5段階のフェーズに分けて進めていこうという本です。著者は、Ajax の名づけ親としても有名な、ジェシー・ジェームス・ギャレットです。
About Face 3 を読んでなんとなくイメージできたインタラクションデザインの作業プロセス感をですね、牽強付会ついでにギャレットの5段階に当てはめてみるとこんなかんじになるかな、と。
Interaction Design With Garrett
View more documents from Hideki Takahashi.
戦略段階とは、ビジネスゴールなんかも明らかにしつつ、何を何のために作るのか、戦略記述書とかビジョン記述書をまとめる段階です。
いったんまとめた戦略にしたがって、ほかに質問はあるかね?ないね?OK!ムーブ、ムーブ、ムーブ!ってケツを叩かれて作業を始めるとして、まず最初に手をつけるのがユーザーの質的調査、それをペルソナにまとめて把握するってことになりますね。
これ、要件定義のはじまりとも言えるんですけど、しかし、把握されたペルソナの姿から、たぶん、戦略自体に強力なフィードバックがかかると思うんですよね。なんで、これはむしろ戦略段階の作業と考えたほうがいいでしょう。
で、ペルソナの振る舞いをコンテキストシナリオとして描き出し、ここからユースケースを抽出して機能要件を、概念モデルを抽出してデータ要件をまとめる。ここんところがまさに要件段階です。
そうして取り出された要件を、今度は、開発計画を立てるためということもあって、小さな複数の開発ドメインに分けて把握しようとしますね。これで、これから作るべきものの姿、輪郭と構造がはっきりする。これを、構造段階と呼んでいいでしょう。
このあたりからいよいよ開発チームが本格的に参入してきて(もちろん要件定義から立ち会ってもらいますけどね)、開発ドメインごとに反復的に開発プロセスを回していくわけですが、インタラクションデザイン側としては、反復プロセスの冒頭でいわゆるキーパスシナリオとしてのワイヤーフレームや、それを補完するチェックシナリオを拵えます。これが骨格段階です。
そして、ビジュアルデザインとシステム実装が、実際にユーザーが手にするものを実現する作業ということで、表層段階。
ま、実際にはですね、案件の性質や規模によっては、いきなり骨格段階からはじめちゃうことだってあると思います。
でも、そんな場合でも、そんなことができるのは、幸運にもそれ以前の段階の成果がなんらかの形であらかじめ与えられているからであって、もし、与えられているはずのものが見当たらなければ、勇気を出してちゃんと前の段階に戻ろう、と、そういう心積もりをいつも持っていたいものです。
0 件のコメント:
コメントを投稿