特集DraftPad/短期集中連載
D箱のアシスト事件
第6夜. アシストのためのサーバーサイド
よーし、やっぱりまじめにアシストのためのサーバーサイドを自分で作ろう!
この際、小さくて、単純で、あまりたくさんのアクセスが発生しないようなものなら、自分でも Web アプリを作れるようになっておこう。ついにぼくはそう決心しました。でも、サーバーの設定とか開発環境の構築とかやりたくない、というか、人間のベーシックな部分がだいぶ迂闊に仕上がっているぼくには、そういうの、まともにできなくてきっとひどい目に合うにきまってるし ...
ところが最近はそのへん、本当にすごいことになってきてるんですね。PaaS とかいって。少し調べたら、DotCloud というのがよさそうでした。Windows + Cygwin 環境に、CLI という DotCloud クライアントをインストールして、サイトに掲載されている Quick Start Guide のとおりに設定してみたら、拍子抜けするほどあっさりと、静的なファイルをホストするサーバーができてしまいました。
そこで、まずはそれに、Dropbox のパブリックフォルダに配置していたアシストをコピーしてみました。すると案の定、開発者以外の Dropbox アカウントでも問題なく OAuth することができるようになりました。
友人にふたたび試してくれるようにお願いしてみると、友人の手元でも問題なく動きはじめたようです。友人は、ぼくのアシストを褒めてくれました。
理解者と勇気を得たぼくは、いよいよ、YQL に頼っていた部分を自前のサーバーサイドアプリに置き換える作業にとりかかりました。
サーバーサイドアプリといっても、クライアントサイドからの xmlHttpRequest を受けて、Dropbox の API へのリクエストとそのレスポンスを中継するだけの、いたってシンプルなものです。きっと node.js と express というWebアプリケーションフレームワークでなら、手っ取り早く必要十分なものが作れるだろうと踏みました。
クライアントもサーバーも、一貫して Javascript のシンタックスに適応しきった頭と手とエディタでやっていけるので、そのへんでもきっと楽ができるでしょう。
作業は非常にスムーズでした。ローカルでの開発サーバーを構築する際に、プロキシの設定の仕方ですこし戸惑ったくらいで、node-dbox なんていうすばらしいモジュールにも出会い、信じられないほど簡単に、ぼくは欲かったものを手に入れてしまいました。
YQL の概念を理解して、満足に設定を整えるまでのほうがよっぽど面倒で時間がかかったくらいです。
出来上がったものを動かしてみると、それはそれは、すばらしいパフォーマンスを見せてくれました。セーブもオープンもさくさく処理されていきます。エラーはちっとも発生しません。長いテキストでも大丈夫です。あの有名な「DraftPad 開発者への 16,820 文字インタビュー」も自由に出し入れできます。ぼくは、ソースコードからリトライの機構を外しました。
さあ、ぼくは有頂天でした。おもては凍えるような寒さでしたが、まさに、おらが世の春でした。たとえ帰り道で交通事故にあっても、生きてさえいれば、ま、そりゃそうだよね、うっふふ。魔でしょ?と、納得づくで笑っていられそうなくらい、それはぼくにとって好事でした。
さっそく公開して、みんなにも使ってもらおう。きっと他にもぼくと同じように喜んでくれる人がいるに違いない。ぼくは、拙い中学生なみの英語で、Dropbox のレビュアー向けに紹介文を一生懸命書きました。これは DraftPad という iPhone アプリの、アシストと呼ばれる拡張機能のひとつであり... インストールの仕方は ... 使い方は ... そもそも DraftPad というのは ... アシストというのはつまり ...。
公開申請ボタンをクリックしたぼくは、すっかり満ち足りた気持ちになって、深夜のD坂を踊るように下って帰りました。あ、団子坂じゃなくて、道玄坂なんですけどね ... 。
つづく。(次回はいよいよ最終回!)
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