2009年3月6日金曜日

ペルソナの見つけ方

About Face 3 読書ノートの6。

ユーザーインタビューをやれるだけやったら、その結果を分析して、これからはじまるデザイン作業に生かせるようなペルソナにまとめ上げるわけですね。

架空の人物を造形するなんてばかばかしいかんじもしますが、要するにインタビューで得られた知見をデザインの現場で取り扱いやすくするためのテクニックなんですよね。

プログラミングでも、設計の初期段階で、ドメインを構成する概念のモデリングをやって、概念モデル図や用語集を作ったりしますね。それでチーム全体のコミュニケーションが円滑になるようにするわけですけど、それに似てると思います。

プログラマーが概念を見つけてそれに名前を与えるように、デザイナーはゴールとコンテクストのパターンを見つけてそれらに人格を与えちゃう。で、馴れ馴れしくあいつ呼ばわりしながら、あいつが喜びそうなデザインを考えていこうと、こういうわけです。

集めたインタビューからペルソナを導き出す手順を、ごくあらっぽくまとめちゃうと、下のスライドのようなかんじになります。ほんとはもっといろいろありますけどね。でも、とりあえず、これくらいのあらすじで覚えといて、実践してみて、必要に応じて本を開けばいいんじゃないかと。

この中で肝になるのは、行動変数を見極めるってとこでしょうね。いってみれば似たもの同士をまとめていくわけですけど、何について似ているといえるのかの、その「何」を見つけていく作業。

これに限らず、グルーピングっていうのは一般に、何に着眼して、どんな基準にもとづいてってところが難しいもんです。中学受験の面積の問題みたいに、いかに有効な補助線を発見できるかっていう勝負に近いかも。

KJ法とかグループをなるべく合理的に発見していく手口もいろいろありますが、このへんはけっこうセンスとか勘がものをいうところじゃないでしょうか。ただ、センスだとか勘なんて、実際にはうろ覚えの経験の別名みたいなもんですから、その意味で、ユーザーに弟子入りするつもりで行うユーザーインタビュー、つまり、ユーザー体験の追体験が大事って話になるんでしょう。

手下にインタビューに行かせて、自分は安楽椅子探偵を気取ってオフィスでふんぞり返ってるなんてのはもっての他でしょうね。それやっちゃうと、たぶんペルソナが原型でも典型でもなくなって、たんなる紋切り型になっちゃいそうです。あるいは、自分が実際に手も体も動かしていた時代にみつけた自分なりに手応えのあったモデルに固執しちゃって、なんにでもそれを当てはめようとしちゃうとか。

ただ、いずれにしても、行動変数は、インタビューの軸でもあった、脳内モデル、コンテクスト、ゴール、ワークフロー、ツールをめぐるものにはなるでしょうね。スライドでは二次元の座標のイメージを使いましたけど、本当は、もうちょっと複雑になるはずですね。

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