クライアントへのヒアリングやユーザ調査や既存サイトの運用経験から、サイトの目的もシステムとコンテンツに対する要求もはっきり絞り込まれてるし、予算やらスケジュールやら大人の事情やらも考えて、いよいよ具体的なサイトストラクチャも見えてきたって段階に入ってくれば、たとえばトップページのワイヤーフレームなんて、そりゃあもうほとんどひとりでにすーっと切れていきます。
なんて、そんなことはないと思います。
そうして積み上げられ、つじつまを合わせるのにも苦労した、それなりに図体のあるサービスやコンテンツの全体を、どうやって、それこそ稲妻のようにユーザに伝えきることができるかって、その仕事がここにもう一枚挟まるはずです。情報のデザイン、もっと狭くいうと、メッセージのデザインですね。
そこんところをどうやるか。いろいろやり方はあると思いますが、正攻法では、ぼくはユーザモデル(サイトの利用を通じてユーザが心に抱くサイト像)をマインドマップに書いてみるのがいいと思います。こちらがそうあってほしいと願うやつをね。それで、そこから逆算するようにしてメッセージを組み立てていってワイヤーフレームに落とし込む。
結構、そういう作図法のボキャブラリ次第で検討できる水準や範囲が決定づけられちゃうってところはありますよね。画面遷移図とワイヤフレームだけじゃうまく設計できないような事柄がサイトデザインにはたくさんあると思います。
しかし、でもまあ、それはあくまでも正攻法。実はもうちょっと即席なやり方もあって、もうちょっと簡単に済ませていい場合もけっこうあるんじゃないか。
たとえば、次の3つのポイントを押さえたメッセージを揃えて、あとはできるだけシンプルに、わかりやすく各要素を並べることだけに気をつけてみるとか。
1、これは○○です。
なんであれ、とにかくタイトル、タグライン、ウェルカムメッセージで、これは何であるのかをできるだけ短く言い切る。適切なメタファーやポピュラーなプロトタイプで使えるものがあったらどんどん動員する。
ここで期待するユーザの反応は「へえ」です。
2、たとえばこんなかんじです。
最初の「へえ」は、ほぼ間違いなく「じゃあ具体的には?」という疑問と期待につながっていくものです。そこにぶつけるのは、当然、ライブデモ、ゴールまでのステップの絵解き、メリットのリスト、喜びの声なんかになるでしょう。
ここで期待するユーザの反応は「なるほど」です。
3、今すぐココをクリック
で、最後に、端的に、わかりやすく、いかにも簡単そうに、ユーザがここでやれることを示すことができれば成功でしょう。
ここで期待するユーザの反応は「よし!」です。
もう、ばかみたいに当たり前の話のようですが、たいがいこんなもんでいけるもんですよ。でもこれが案外ちゃんとできてなかったりするんですよね。ワイヤーフレームの段階で。いろいろてんこ盛りで、こういう基本がどっかにいっちゃってるっていうのもありますね。
もちろん、サイトごとターゲットユーザごとに、メッセージの内容はそれぞれですよ。どんなメッセージがユーザに届くか、ユーザを惹きつけるかは、ペルソナとか持ち出して個別に検討しなくてはいけないんですけど、へえと言わせて、なるほどと思わせて、よし!ってその気にさせるっていう運びは、だいたいなんにでも共通するメッセージデザインといっていいでしょう。
あとこれは、他の人が書いたワイヤーフレームをレビューするときのひとつの基準として使えると思いますよ。
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